コンペティションのテーマに「いつか失われるかもしれない、美しいもの」を掲げたことは、
フィンレイソンが今まで築き上げてきた美しいものや価値観をこれからも失わないという強い意志の表れです。
2020年、フィンレイソンの創業200周年を記念して、
日本のパートナー企業であるフェリシモと共催で、
フィンランド・日本両国のデザイナーを対象にテキスタイルデザインコンペティションを実施しました。
集まった作品は2343作品。これは、予想を遥かに超えるものでした。
多くのデザイナーがこのコンペティションに素晴らしい熱意をもって向かってくださり、
それと同時に審査はとても難航するものとなりました。
エントリーしてくださった作品がいずれも驚くほどクオリティが高く、
みなさまのさまざまな視点により、コンペティションのテーマ自体にまた新たな気づきがあったためです。
最終的に、大賞は日本人デザイナーによる2作品が選ばれました。
それらのデザインは、フィンレイ ソンのデザイナーによる企画開発のもと、
2022年春夏コレクションとして商品化され、すでに多く のフィンランドの家庭で使われています。
フィンレイソンのアーカイブに加わり、これからも長く愛されるであろうデザインの商品を、
ぜひ日本の皆様にも手に取っていただきたいと思います。
Design Competition
Import Item
Comments from Finlayson Atelier
PARVEILU
テキスタイルデザインに落とし込むと、とかくありきたりになりがちな蝶のモチーフをシンプルにあしらい、
羽の動きを新鮮な感覚で見事に表現しています。
このデザインは適用範囲が広く、掛け布団カバー、ピローケース、などのプリント生地を始め、
ジャガードのキッチンクロス、バスタオルなど、様々な商品で展開しています。
色展開も自由自在で、今回の春夏商品でも魅了的なバリエーションが揃いました。
KUKINTA
夏の花々の魅力があふれる心和む幸せな雰囲気のデザインです。
紙をちぎって作られたこのデザインは、心地よくナイーヴであり、子供のころの夏の思い出ようなノスタルジーを感じさせます。
今回の春夏コレクションでは、掛け布団カバーやキッチン商品などで、春夏らしい暖かくフレッシュな３色で展開しています。
受賞作品
PARVEILU
Designed by kijinichijo応募時のタイトルはCHO NO MURE（チョウ ノ ムレ）
From Designer
花や蝶など、ひとつのものが集まることでより美しく感じることがあります。 環境の変化により、少しずつ数が減ってしまうことで見られなくなる景色、 幼いころに身近にあったけれど、時間と共に忘れられてしまったものを描きました。
KUKINTA
Designed by Akiko Tsurusaki応募時のタイトルはSAKU（サク）
From Designer
このデザインは、地球温暖化によって脅かされている「四季」を表現した4デザインのうちのひとつです。 日本、フィンランドどちらも誇るべき美しい四季を持っていますが、私は近い将来なくなってしまうのではないかと恐れています。
のびやかな生命力、パッション、エネルギー、太陽の力強さを、夏の大輪の花々になぞらえて表現しました。
KUDELMA
Designed by Noora Typpö応募時のタイトルはDIALECT（ダイアレクト）
From Designer
いつか失われるかもしれない美しいもの、それは世界中の言語にあるのではないでしょうか。 「方言」は私たちの文化や慣習、私たちの生き方の大きな部分を占めているものです。
ですが、古い方言は現在新しいものへと移り変わり消えてしまおうとしています。 私はこのパターンを「ワードウィービング」の技法で創りました。 デザインの中に、「dialect（方言）」「kotoba」「murre（フィンランド語で方言）」 そして「sana（フィンランド語で言葉）」といった言葉を見つけられるはずです。
最終的に、美しい言葉や言語、方言についてのくねくねとしたコラージュとなりました。
Ohikiitävät
Designed by Kaisla KujanpääFrom Designer
旅をしていて、窓の外を眺めていた。 とても美しい夏の日で、花いっぱいの草原がどんどん眼前を去って行った。 それらは美しいと同時に、多くの人にとって「普通」のことであり、 「見えていないもの」のように感じた。
私たちはただそれらの前を走り去り、美しいものを見逃しているのだ。 私はこのように目立たず、気づかれることもない草花のパターンを作りたいと思ったのです。